薬事法では有効成分の作用の表記はどのように規定されているの?

スキンケア用品には、薬事法において化粧品と分類されるものと、医薬部外品と分類されるものがあるのをご存じでしょうか。ここでは、化粧品に分類されるスキンケア用品、医薬部外品におけるスキンケア用品の違いを分かりやすくご説明し、どのような効能効果が表記可能かについてもご紹介しましょう。

適切にスキンケア用品を選ぶヒントになれば、と思います。

雑誌の記事や広告と薬事法の関わりについて

医薬部外品の扱いになるスキンケア用品とは?

一般的に薬用化粧品と呼ばれるスキンケア用品は、医薬部外品に分類されます。薬事法では、薬用化粧品は、化粧品としての使用目的を併せて有する化粧品と類似する剤型の外用剤と規定されています。剤型としては、液状やクリーム状、ゼリー状の剤型のほか、固型が挙げられます。

また、制汗剤や殺虫剤などにみられるエアゾール剤も含まれます。医薬部外品の薬用化粧品の場合は、肌荒れや日焼けによるシミ・そばかす対策に対して有効な成分を配合していることが求められます。医薬部外品の扱いであれば、有効成分を明記し、その成分がどのような作用をもたらすかを示すことが可能です。

体臭を防いだり、汗疹やただれ等を予防したりするスキンケア用品も医薬部外品に該当するものがあります。薬用化粧品として認められている商品は、シャンプーやリンスといった毛髪や頭髪の健康を守るヘアケア用品から、化粧水や乳液、クリームといったスキンケア用品まで幅広い種類が存在しています。

また、ひげそり用剤や日焼け止め剤、パックに関しても、薬用化粧品に分類されている商品がみられます。

化粧品の扱いになるスキンケア用品とは?

薬事法上、化粧品の扱いになるスキンケア用品は、医薬部外品とは異なり、特定の有効成分が配合されている必要はありません。化粧品は、薬理作用によって効能効果が認められたものではないため、認められた効能効果以外の薬理作用による効能効果の表現は禁止されています。

化粧品の場合は、有効成分の作用として効能効果を表記するのは、薬機法上違反にあたります。有効成分の作用との関連性を謳わずに、効能効果を表記することはできます。薬機法において、化粧品が標ぼう可能とされている効能効果は56個あります。

それぞれの効能表現に関して、事実に反しない限りは、標ぼうできるとしています。効能表現は細かく規定されていて、消費者が安心して化粧品選びができる一助となっています。

ひびや赤ぎれを防げる薬用ハンドクリーム選びのヒント

医薬部外品の扱いになるスキンケア用品のなかから、肌荒れを防ぐハンドクリームを選びたい時には、どのような成分を配合されているものを選ぶとよいのでしょうか。ひびや赤ぎれを防げる有効成分としては、酢酸トコフェロールやビタミンA油が挙げられます。

ひびやしもやけといった深刻な症状を緩和するだけでなく、肌荒れを予防する上でも効果が期待できる成分です。ビタミンA油は、皮膚の角化を正常化する働きを持ち、ビタミンA油を配合したハンドクリームを一日に数回塗布することで、より健康的な肌を手に入れることができます。

また、l-メントールを配合したハンドクリームは、かゆみを和らげてくれる効果が期待できます。l-メントールは、薄荷の香りを持つ揮発性の無色結晶で、ハッカ属の植物に多く含有される成分です。l-メントールを配合したハンドクリームであれば、手荒れを予防し、かゆみを緩和できるだけでなく、ミントの香りでリフレッシュすることもできるでしょう。

美白効果をもたらす化粧品選びのヒント

スキンケア用品は、美白効果のあるものを選びたいと考えている人も多いのではないでしょうか。

医薬部外品として認められたスキンケア用品に配合される成分のうち、美白に対する有効成分として挙げられるもののひとつが、トラネキサム酸です。トラネキサム酸は、肝斑の改善があることから、医薬品にも用いられることのある成分です。

たんぱく質を構成する必須アミノ酸リシンをもとにして人工合成された成分で、シミの原因となるメラニンの発生を抑制する作用があることで知られています。トラネキサム酸を配合したスキンケア用品には、ドラッグストア等でも販売されている商品がありますので、気になる方はぜひ試してみてください。

美白効果があるとして認められた医薬部外品には、「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」もしくは「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」という表記がされています。メーキャップ用品であれば、メーキャップ効果によって、肌を白くみせる効果が表記されています。

同義語における言い換えは可能ですが、異なった意味にも読み取れる言い換え表現は固く禁じられています。なお、肌本来の白さをアップさせるかのような表現は認められていません。「目に見えて肌が白くなる」といったフレーズが使われている場合は、薬機法違反にあたる可能性がありますので、十分に注意してください。

賢く薬用化粧品選びをしよう

医薬部外品にあたる薬用化粧品は、一般的な化粧品に分類されるものと比べて、高い効果が期待できるものです。その一方で、肌に合わないものを選んでしまった場合は、肌トラブルの原因となることも考えられるため、パッチテストをしてから使用するなど、自分の肌との相性をしっかり確かめてから使用することが大事です。

また、用法や用量を正しく守って使用することも、重要なポイントです。高い効果を期待しようとして、必要量以上に塗布したりすることがないよう、使用時にはきちんと説明書を読むようにしてください。医薬部外品では、しみやそばかすをなくす、という治療的な表現をすることは禁じられています。

しみやそばかすといった肌悩みが既に生じている場合は、スキンケア用品によってしみやそばかすを消したいと考える人もいるかもしれませんが、残念ながら市販のスキンケア用品では対処するのが難しいと言えるでしょう。

しみやそばかすの治療を本格的に受けたい場合は、皮膚科を受診して、専門家のアドバイスを聞いたり、処方された薬を服用したりするのがおすすめです。

薬機法で認められた表現についての理解を深めよう!

スキンケア用品を選ぶ際には、効能効果が正しく表記されているかをチェックし、慎重な目を持って選ぶことが必要です。キャッチーなフレーズに惑わされて、薬機法違反にあたる表記をしている商品を購入することがないように、薬機法で認められた効能効果に関する表現について理解を深めておき、賢い消費者になるようにしましょう。