そのpopは大丈夫?薬機法(旧薬事法)と広告の関係とは?

小売店などで売りたい商品やおすすめ品を効果的にアピールするために使われるpop広告。pop広告は売り上げに大きな影響を与えることができる広告媒体ですが、表現によっては健康食品やエステなどの美容分野では薬機法(旧薬事法)に違反してしまう恐れがあります。

そこで、広告と薬機法(旧薬事法)との関係についてまとめてみました。

雑誌の記事や広告と薬事法の関わりについて

薬機法(旧薬事法)とは?

広告媒体を利用して商品やサービスを提供する上で気を付けなければならないのは、法律に則って消費者に訴求するということです。そもそも「訴求」とは、文字の通り「訴えて求めること」を意味しますが、現在は主に、「売り手が宣伝や広告などで消費者の欲求に働きかけ、商品やサービスの購入を促すこと」というマーケティング用語として用いられています。

訴求力を高めるために、スキンケアやヘアケア商品に効能効果を保証するような表現や、健康食品に病気の予防効果があるような表現の広告を見かけたことがある方も多いのではないでしょうか?しかし、そのような表現は薬機法(旧薬事法)によって禁止されています。

薬機法(旧薬事法)とは、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。以前は薬事法と呼ばれていましたが、2014年に改正され名称が変わり「医薬品医療機器等法」や「薬機法」と略されています。

薬機法は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器または再生医療等製品を対象にした法律で、製造や流通、広告などについて定められています。そのため、医薬品の製造や販売に携わっていなくても、薬機法に関わっている場合があります。

近年では、医薬品の製造分野以外でも薬機法に違反したという事例が見受けられます。思わぬところで薬機法に触れてしまうことのないように、法律の概要は理解しておきましょう。

薬機法(旧薬事法)における広告規制

薬機法(旧薬事法)には、広告の表現に関する項目が第10章「医薬品等の広告」の第66条、第67条、第68条で定められています。第66条では、何人も医薬品などの名称や製造方法、効能効果や性能に関して明示的であっても暗示的であっても、虚偽の広告や誇大広告をしてはならないと定めています。

また、記述や広告において、医師などが保証したものと誤解されるような記述や記事で広告することも禁止されています。第67条では、政令で定めるガンなどの特定の疾病に使用される医薬品や再生医療等製品など医師の指導のもとで使用されなければ危険なものに対して、医薬品関係者以外の一般人に対する広告を制限しています。

第68条では、承認前の医薬品や医療機器及び再生医療等製品の広告を禁止しています。以上のように、虚偽広告や誇大な表現、特定の疾病に関する広告、医薬品として承認されていないものについての効果や効能について制限されているため、広告の表現には注意する必要があります。

薬機法と商品のカテゴリー

医薬品や医療機器、医薬部外品や化粧品、健康食品といったジャンルの商品やサービスの宣伝には薬機法は避けて通れないものです。雑貨や一般的な食品は薬機法の対象ではありませんが、商品やサービスを使用したり摂取したりした時の効果や効能を広告に使う時には薬機法が適用される可能性があります。

商品やサービスに関わらず、身体や健康に関連する作用を訴求すると薬機法に触れることを覚えておきましょう。

健康食品や化粧品は、どのように分類される?

口から摂取するものは大きく分けて「食品」と「医薬品・医薬部外品・再生医療等製品」とに分けられます。医薬品に該当するかどうかの基準は、「46通知」と呼ばれる「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」で定められ、医薬品の成分を指定する成分本質、身体の変化を表現する効能効果、医薬品としての形状や用法用量の明示などが基準として示されています。

この基準に該当するものが「医薬品」と判断され、「医薬品」としての承認を得ていないものは「無承認医薬品」「無許可医薬品」とみなされ薬機法(旧薬事法)に触れてしまうのです。つまり、一般食品であっても医薬品的な効果や効能について謳うと医薬品と誤認されるおそれがあるため薬機法に抵触してしまいます。

予防に効果があると表示できる製品は医薬品として承認されたものに限られているので、予防に役立つことを表現したり用法用量を明記したりすると医薬品とみなされてしまうわけです。ただし、機能性表示食品やトクホと呼ばれる特定保健用食品は、その限りではありません。

薬機法では、商品のカテゴリーによって違法となる表現になる場合や、広告することそのものが禁止されている場合があります。商品のカテゴリーによって定められた規制もあるため、広告表現については商品の分類や対応する法律についても知っておくと良いでしょう。

例えば、化粧品は同じ使い方でも薬機法によって「化粧品」と「薬用化粧品」とに分けられています。基本的に「化粧品」は、肌の保湿や清浄など、製品に効果が期待されるものを指します。一方、「薬用化粧品」は「化粧品」として期待される効果に加え、肌荒れや美白などの効果を持つ有効成分が配合されているもので、薬機法では「医薬部外品」に該当します。

医薬部外品は、薬用化粧品の他に育毛剤や除毛剤、浴用剤なども含まれます。つまり、有効成分が配合されているかどうかでカテゴリーが分かれます。また、化粧品は薬機法で全成分表示が義務付けられていますが、医薬部外品は業界団体の自主基準で成分表示をしているという違いもあります。

医薬部外品は医薬品よりは作用が穏やかなものという位置づけになると言えるでしょう。薬用化粧品の広告で肌荒れやニキビなどの「肌の悩みをすっきり解消」という効能や効果を保証するような表現はNGになります。また、医薬品的な効果や効能があるような「発毛」、まだ承認されていない白髪予防などの効果を謳う表現、医師や大学教授などが推薦しているという表現なども違反となります。

サプリメントなどの健康食品も表現によっては誇大広告となってしまうケースがあるので気をつけましょう。

薬事法では有効成分の作用の表記はどのように規定されているの?

pop広告も規制の対象となるので注意しよう

薬機法(旧薬事法)において規制の対象となる表示や広告には、製品の容器や包装、チラシやパンフレット、テレビやラジオ、新聞などのメディアに掲載される広告だけでなく、店内のつり広告やpop広告、小冊子、代理店などで配布される商品関連の資料も該当します。

また、使用経験者の体験談、店頭や訪問先などで行われる口頭での説明も対象となるため、注意が必要です。

薬機法(旧薬事法)のガイドラインを理解しておこう

pop広告は、消費者の目を引きやすく商品やサービスの情報を伝えるために効果的なツールです。販促に有効な手段であり、売り場の雰囲気を変える役割も持ちます。売りたい商品のpop広告を出す時には、薬機法(旧薬事法)に違反しないようにガイドラインを予め理解しておくことが重要です。

法律に則って虚偽や誇大広告にならないような表現を心がけましょう。